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熊野古道 大峯奥駈道

大峯奥駈道は、修験道の聖地「奈良吉野山」と「熊野三山」を結ぶ修験者の修行の道であり、吉野から大峰山寺、玉置神社を経て熊野本宮大社に至る、標高千数百メートル級の険しい起伏に富んだ大峰山脈を縦走する、熊野古道の中でも最も険しいルートとされています。

そのためか、大峯奥駈道を歩く人には、日本アルプスや他の名だたる山脈を縦走した経験を持つような山好きが多いという特色があります(私の個人的な感想)。


大峯奥駈道ルートマップ

※画面上の再生ボタンをクリックするとルートを自動でたどることができます。
※左上の縮尺の調節レバーを+側にするとより詳細な地図を見ることができます。


伝説によれば、大峯奥駈道は修験道の祖とされる役行者が8世紀初めに開いたとされ、これを踏破する奥駈は修験道で最も重視される修行であり、修験者はこの奥駈が義務付けられ回数を重ねることが重要とされているそうです。

熊野古道は一般的に参詣道として知られていますが、大峯奥駈道に限っては参詣道というよりも修行の道であり、熊野古道の中では異色なルートといえます。


私はこの大峯奥駈道を歩いたわけですが、どうしてわざわざこのような異色な道を選んだのか。

実はそこに明確な理由を見つけることはできません。

あえて理由をあげるとすれば、ただ“縁”があったからということになるのかもしれません。


それでは、旅日記をお楽しみください。

>>熊野古道 大峯奥駈道~中辺路歩き旅日記 1日目

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テーマ : 世界遺産・遺跡・名所
ジャンル : 旅行

tag : 世界遺産 熊野古道 地図 山岳信仰 吉野 大峯奥駆道 大峯山脈 登山

吉野 - 心見茶谷跡(旅日記 1日目)

京都駅。近鉄の切符売り場前に立ちすくみ、私はそこからしばらく動けないでいた。

高野山に向かおうか、それとも吉野にしようか。
つまり、小辺路を歩くか大峯奥駈道を歩くか、直前まで決められないでいたのだ。


さんざん考えた挙句、どちらかといえば京都駅から近く、
その上乗り換えも少なく行き方が簡単だと理由で吉野に向かうことにした。

いまふり返れば、実際にはもっといろんなことを考えた結果の選択だったという気もするが、
なにはともあれ、大峯奥駈道を歩くことが決まったわけだ。


結局、吉野駅にはお昼ごろに到着。

駅前の案内板で大峯奥駈道のルートを確認し、何となく把握する。

なにしろこの時点で知っている情報といえば、
吉野から出発し、ゴールは熊野本宮大社。ただそれだけ。

大峯奥駈道に関して唯一持っている資料は、
吉野駅改札前でもらってきた、吉野山回遊コースの案内“てくてくまっぷ”くらい。
これから何日もかけて山を縦走するというのに地図すら持っていないのだ。

さらに何を思ったか、用意した食料は、京都から吉野に来る間に
駅の構内にあったマツキヨで買ったカロリーメイト6箱と
似たようなバランスパワーという栄養補助食品9箱だけ。

かさばるうえに主食として成り立っていないにもかかわらず、
他に何か持っていこうという考えはこのときなかった。

むしろ、たとえ何も食べない状態が数日続いたって死にはしないだろう、という
なんとも無謀なことを考えていた。


地図や食料といった問題以外に、直前2、3日は十分な睡眠がとれず
おまけに咳が出ていてあまり体調が良いと言える状態ではなく、
テントなどを装備したバックパックがすでにかなり重く感じるなど、
いくつかの不安要素を抱えつつも、
とりあえずは“てくてくマップ”を頼りに歩き始めた。


お土産屋さんや食べ物屋さんがならぶ吉野山の道は、
ゴールデンウィーク前の最後の平日で人はまばら。

そろそろ昼飯を食べようと思いながらも先へと進み、吉野の社寺を堪能。

金峯山寺仁王門
金峯山寺仁王門

金峯山寺蔵王堂
金峯山寺蔵王堂

吉野水分神社
吉野水分神社


金峯山寺と吉野水分(みくまり)神社は長い歴史を感じさせる雰囲気でとても見ごたえがあった。


さっきまで通りにびっしりと軒を連ねていたお店がいつの間にかなくなり、
まだ先にあるのではないかという期待もむなしく、最後の金峯神社に行くまで結局一軒もなく、
山に入る前の最後のしっかりした貴重な食事を食べそこなってしまった。

15時すぎくらいだったか、いい加減腹が減ったので、
金峯神社前の休憩所でバランスパワーを1箱食べた。


金峯神社の脇には源義経隠塔という建物がある。

前日は幼少期に義経(牛若丸)が修行したという京都の鞍馬山に行っていたので、
なんだか義経の追っかけみたいな感じだ。

金峯神社~義経隠塔の道
金峯神社~義経隠塔の間の道


金峯神社から先はいよいよ山の中に入っていく。
実はこのあたりからすでにどこを目指して歩いていったらよいかわかっていなかった。

間もなく、「←山上ヶ岳・西行庵|西行庵→」という道標があり、
小さな丘のような山を越えて西行庵に行く道と、山に登らずに西行庵に行く道があるのだと勝手に理解し、
私は楽な方と考え「→」へ行った。

“てくてくまっぷ”で西行庵という字を見ていたので、
とりあえず西行庵を目指せばよいのだろうとこの時は思っていて、
さらに山上ヶ岳が何なのかまったく知らなかったのだ。


そして少し歩くとまた道標。今度は、「←西行庵|鳳閣寺→」。
そうか、次に目指すのは鳳閣寺で、西行庵はちょっと寄り道みたいな感じなんだ!と理解。

西行庵までは0.2kmと書いてあったので、近いからちょっと行ってみることに。

この場所の静けさは西行や芭蕉がお気に入りだったと“てくてくまっぷ”に書いてあるとおり、
静かすぎて鳥の鳴き声だけが際立って心地よく聞こえてくるくらい本当に静かなところで、
さらに庵の周りだけ木がないので明るくとても素敵なところだった。

ここではしばらくゆっくりした。

西行が3年住み着いてしまった気持ちがよくわかる。
私も住み着いてしまいたいくらいだった。

とても落ち着くところだったので今日はここにテントを張ってしまおうかとも考えたが、
かなり迷った末、この時点で確か16時くらいだったのでもう少し先へ行くことにした。


先ほどの道標のところまで戻り、鳳閣寺方面へと足を進める。

少し行くとあまり手入れされていないのか、道の両側から草が生い茂り、
まるで藪の中を歩いているような状態に少し不安を感じ、
またあらためて“てくてくまっぷ”をよく確認してみた。

すると端の方に「大峰山」という文字が目に入る。

私が行こうとしているのは大峯奥駆道だから、大峰山を目指すことに間違いはないはず。
だとすると、鳳閣寺はぜんぜん違う方向だった。


あぶないあぶない。早めに気が付いてよかった。
ちなみに“てくてくまっぷ”にはこのあたりまでしか書かれていないのだ。


来た道を引き返し、ふたたび西行庵を通り、大峰山方面へ。
夕方の誰もいない山道の淋しさを感じながらしばらく歩く。


18時くらいに「心見茶谷跡」というところに着き、
時間も時間だし、この場所の名前が気に入ったというのもあって、
今日はここまでとすることにした。

とてもテントを張るようなところではなかったが、
頑張れば二張りは張れるくらいのスペースはあった。

こんなところにテント張るのはたぶん私くらいしかいないだろうね。


【本日の食事】
昼:なし(夕方にバランスパワー1箱)
夜:なし

>>熊野古道 大峯奥駈道~中辺路歩き旅日記 2日目

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tag : 世界遺産 熊野古道 大峯山脈 吉野 大峯奥駆道 登山

心見茶谷跡 - 小笹(旅日記 2日目)

朝5時すぎに起きる。寒くてあまり熟睡できなかった。

6時20分ごろ、とりあえず四寸岩を目指して出発。

毎日その日の宿泊地をどのあたりにするか、
あらかじめだいたいの予定を立てておくのが普通かもしれないが、
なにしろ地図を持っていない私にとってはまったくの未知の土地なので、
道標を頼りにただひたすら前に進んでいくだけだ。


出発地の心見茶谷跡から四寸岩山頂まではひたすら登り。

数日前から続く咳のせいか、これまた数日前から続く寝不足のせいか、
それとも重い荷物にまだ慣れていないのか、
登り始めてまだ間もないというのにすぐに息切れがして、頭がボーっとしてくる。

そのため、ちょくちょく休憩が必要だった。

意外なほどにしんどく、どうしてこんなところに来てしまったのか、
迷った末に奥駆道に来たが、もう一つの候補地だった小辺路に行った方がよかったんじゃないか
といったネガティブな思考がこの時は頻繁に出てきた。


やっとの思いで四寸岩山頂にたどり着き、ちょっと長めの休憩をしていると、
大きなバックパックを背負った人が登ってきて、休憩もせずに足早に進んでいった。

それを見て、こんなにのんびりしていていいのだろうか、という気になり私も歩き始めた。


そこから少し先へ行った足摺の宿跡というところに行くと、
さっきの大きなバックパックの人が休憩をしていたのでちょっと話しかけてみた

話によるとその人も私と同様、奥駆道を縦走するらしく、
5月1日の今日吉野を出発して5月5日までに本宮を目指すということだった。

つまり、4泊5日の行程だ。

4泊5日!?
早くても1週間、普通は10日間くらいかけて歩くルートだと私は思っていたので、
ちょっとびっくりしてしまった。

「5泊6日で行くのが標準らしいですよ」とその人。

5泊6日!?
そんなもんで行けてしまうのか~!

私は10日間くらいを覚悟していたので、その日程を聞いて少し嬉しくなってしまった。

今日は小笹というところまで行くという話だった。



人と話したことで少し元気が出て、
しばらく足取りも軽くなったような気がしていたが、やっぱり疲れやすい。

息切れしたり、疲れを感じるのでたびたび休憩をすると、すぐに眠気がおそってくる。


山道の途中にあった沢でなくなりかけていたペットボトルの水を補給。
そして歯磨きと洗顔をして気分をリフレッシュ。
一応自然に配慮して、私は歯磨き粉やせっけんは使わなかった。


女人結界門がある五番関というところで、また少々長めの休憩。
ベンチに横になってうとうとしていると、いつの間にか30分くらいたってしまった。

五番関の女人結界門
五番関の女人結界門=「女」の文字が意味ありげに破壊されている


なんだか体調がすぐれないな~、と思いながらも、頑張って足を前に踏み出す。


道をふさぐ大木
道をさえぎる大木


昼ごろ桐辻茶屋に到着。
茶屋のスタッフらしいおじさん数人が忙しそうに動き回っている。
昼時だというのにお客さんが見当たらない。
どうやら小屋開けの準備をしているようだ。


私はカロリーメイト以外のものを食べられるなら何か食べておきたいと思い、
まだ準備中の雰囲気の茶屋のおじさんに何か食べるものはあるか聞いてみた。

うどんくらい食べられると思っていたがまだ準備ができていないらしく、
カップラーメンだったら出せるということだった。ちなみに値段は400円。

山の上の売店で値がはるのは仕方ない。
私は迷わずカップラーメンを食べた。

翌日(5月2日)の山上ヶ岳頂上にある大峯山寺の戸開式に合わせてわんさか人が来るらしく、
そのためこの茶屋も明日から忙しいのだそうだ。

食べながらおじさんといろいろ話し、情報収集もできた。

こうやって人と話をするたびに元気をもらっている気がする。


このあたりから慰霊碑や記念碑、行場などが目立ち始め、
修験道の聖地という雰囲気が色濃くなってきた。

くさり場
くさり場もある

鐘掛岩からの眺望
鐘掛岩からの眺望

西の覗
西の覗


山上ヶ岳の山頂にある大峯山寺には15時ごろに着いた。
やっとたどり着いた~!とりあえず第一関門突破!という気分だった。

お寺の人たちはいろいろと明日の準備をしている様子だ。

山上ヶ岳山頂
山上ヶ岳山頂

大峯山寺本堂(山上蔵王堂)
大峯山寺本堂(山上蔵王堂)=戸開式の前日でまだ戸が開いていない


ここまで来たはいいけど、ここからどこに進んでいったらいいのかわからない。
ちょうど本堂の前で休憩している人が一人いたので話をかけてみた。

その人は登山経験豊富なようで、トレーニングがてら毎年この大峯奥駈道を縦走しているらしく、
それだけでも驚きなのになんと本宮までの全行程をたった2泊3日で行くという話を
さもそれが何でもないことのように話していた。すごいね。

今日はこれから行者環小屋というところまで3時間くらいかけて行くんだとか。


この人からはいろんなことを教えてもらいとてもた助かった。

その中でも、熊野本宮に着いたらそこから請川というところまで行くと中華料理屋があり、
そこでは宿泊もできるという話と、那智大社の最寄り駅の那智駅では風呂が入れるという話は、
私のこの先の歩き旅の原動力になった。



16時ごろに避難小屋がある小笹に着いた。すでにテントがあちらこちらに張ってあった。
どうやらここはテント場として有名なところみたいだ。

まだ明るいし早いのでもう少し先に進むか迷ったが、
小笹には美しい沢が流れていて、ちょうど西日もあたり素敵なところだったので、
この日はここにテントを張ることにした。


ただ、このあとちょっとした事件発生。

夜の寒さに備えて、少しでも寝袋を温めておこうと西日の当るところに置いておき、
しばらくしてから取りに行くと風で飛ばされていて、なんと一部が沢の水に浸っているではないか!

なんということだ~!!まったくツイテない。

急いで絞って干してみるが、すでに太陽は沈みかけていたので乾くわけなく、
タオルで水分を吸収するなどいろいろと工夫して、なんとか寝ることができた。


【本日の食事】
朝:カロリーメイト1箱
昼:カップラーメン
夜:バランスパワー1箱

>>熊野古道 大峯奥駈道~中辺路歩き旅日記 3日目

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tag : 世界遺産 熊野古道 登山 大峯山脈 大峯奥駆道 山上ヶ岳

小笹 - 八経ヶ岳(旅日記 3日目)

やはり今日も寒くて熟睡できなかった。

5月とはいえ標高2000メートル近くのところにいるわけだから、寒くて当然なのだ。

昨日大峯山寺で会ったおにいさんが、
小笹に泊まるなら翌日は弥山(みせん)あたりまで行くとよいと地図を見ながら教えてくれたので、
今日の目的地は弥山にすることにした。


歩き始めてみると昨日より体調が良い気がする。
もしかしたら身体が慣れてきたのかもしれない。

朝のうちはけっこう寒く、見かける人はみんな手袋をしていて、
手袋を持ってきていなかった私はそれを見て「いいな~」なんて思いながら
ポケットに手を突っ込んで歩いた。

まずは、行者環岳を目指す。

根こそぎ倒れる木
根こそぎ倒れる木=尾根道には見慣れてしまうほど根こそぎ倒れている木がたくさんある


途中、道を見失ってしまい違う方向に歩いている気がしたので
立ち止まって後から誰か人が来ないか待っていると間もなく一人通りかかり、
私が違う方向に歩いていることを教えてくれたので助かった。

岩にしがみつく木
岩にしがみつく木

根っこの下を通り抜ける
根っこの下を通り抜ける=道に迷ったのは確かこのあたり


行者環岳の頂上は一度ルートから外れて登り、また帰ってこなければならない。
私は何かを期待して登ってみたが特に何があるというわけでもなく、
木が生い茂っていて眺めがよいというわけでもなかったので、
わざわざ行かなくてもよかったかなと思った。

頂上では名古屋から来たというおじさん3人が昼飯を食べていて、
うまそうなおにぎりと漬物を見て思わずよだれがたれそうになる。

ゴールデンウィークということもありこのあたりの山は登山客がたくさんいて、
名古屋のおじさんたちも日帰りで登って、車で移動してまた明日大峯山系の別の山に登ると言っていた。


行者環岳をすぎてから、道の途中ですれ違ったツアーの団体の案内役のような人に、
行者環岳の頂上はちょうどこの季節にシャクナゲの花でいっぱいになるという話を聞いたが、
私が行った時はまだ時期が早かったのか花など一つも見当たらなかった。


行者環岳から少し歩くと行者環小屋がある。

行者環小屋
行者環小屋

昨日大峯山寺で会った2泊で本宮まで行くというおにいさんは、
昨日のうちにここまで来たということだ。おそるべし!

小笹で顔見知りになったおじさんがここで昼飯を食べていた。

私はノンストップで弥山を目指す。


このあたりから弥山に行く道は比較的アップダウンも少なく順調なペースで歩けたが、
弥山の少し手前から頂上までひたすら続く登りの木の階段はかなりしんどく、何度も休憩した。

本来の自分というか、いつも登山をするときなどはもっと体力があったと思うのだが、
奥駆道を歩き始めてからはなぜかとても疲れやすい気がする。

身体が何かおかしいのだろうか。年配のおじさんにも抜かれてしまう。


午後2時半ごろ、やっとの思いで弥山小屋に到着。
ここは避難小屋ではなく、奥駈道で唯一山小屋として営業している小屋だ。

連休ということもあり小屋周辺にはたくさんの人がいて、
缶ビールをうまそうに飲んでいる姿が印象的だった。

弥山
弥山=奥が神社へと続く道。立ち枯れしている木が目立つ。


私はその辺にバックパックを置き、
小屋から少し歩いた弥山の頂上にある弥山神社に向かった。

神社へと続く道はほとんどの木が立ち枯れして白くなっていて、ちょっと異様な雰囲気だ。

弥山神社は、パワースポットとして有名な天河神社の奥宮でもある。

神社の前では老若男女10人くらいのグループが、ひざまずいて
般若心経を繰り返し詠唱していた。

私はその横で簡単にお参りを済ませた後、
近くのよく陽の当っているベンチに横になっていると
その般若心経をBGMにいつの間にか寝てしまっていた。

30分後くらいに起きてまた小屋の方に戻る。

弥山小屋には売店があるという話を昨日大峯山寺で会ったおにいさんに聞いていたので、
売店を探してみるがそれらしいものは見当たらなかった。

結局その辺の人に聞いて小屋の中にあることが分かり、
一袋300円のお菓子を3袋(ミニドーナツ、バナナチップス、パインアメ)と
300円の缶ジュースを1本、水1リットル100円を購入。

その場でオレンジジュース一気飲み。

食に対しての渇望がすごく、値段などはどうでもよかった。
手持ちの食料が増えたことで安心感が増した。


弥山には泊るつもりでもいたのでだいぶゆっくりしていたけど、
人が多くて自然の中にいるという感じがしないし、
少しでも標高が低いところの方が夜は暖かいだろうし、
昼寝して少し体力も回復したし、まだ16時くらいだったので今からならまだ結構歩けると思い、
迷った末に先へ進むことにした。


16時半くらいに八経ヶ岳山頂に着く。

八経ヶ岳山頂
八経ヶ岳山頂

休憩していると自分とは反対方面から一人のおじさんが登ってきた。

この先の道の情報が聞けるかも知れないと思い話しかけてみた。

おじさんは今日、前鬼(ぜんき)から歩いてきたそうだ。

弥山に泊らないとなると次は楊子ノ宿小屋を目指すのが一般的らしいが、
ここからだとまだ3、4時間はかかるということで
明るいうちにたどり着くのはとても無理そうだ。

楊子ノ宿小屋の少し手前にある船ノタワというところが平らなところで、
そこにもテントを張れるということだったが、
地図上では楊子ノ宿小屋のすぐ近くという感じでここまで行くのも無理。

おじさんの話では船ノタワから八経ヶ岳に来るまでの間で、
テントが張れそうな平らなところは見当たらなかったので、
また弥山に戻った方が賢明かもしれない、と。

それにこの先はガレ場が多いので暗くなって歩くのは危険だとも言っていた。

おじさんは地図を出して親切にいろいろ説明してくれたが、
私は内心では自分のテント一張りくらい張れる場所はあるだろうと楽観的に考えていた。

他にも水場を教えてもらったり、いろいろ話しているうちに時間がたち、
八経ヶ岳を出たのは17時くらい。


先の道はアップダウンも少なくペースアップして歩くことができた。

DSC_0153.jpg


おじさんが言っていた通り、確かにガレ場が多く足を滑らせてヒヤッとする場面もあった。

ガレ場
ガレ場=あぶないあぶない。スピードより安全第一だ。


また、斜面が続き平らなところを見つけるのが難しかったが、
しばらく歩いているとところどころにテントが張れそうな場所はあった。

平らな場所を見つけるたびにここを逃したらこの先もうないんじゃないかという不安を抱えながら、
先へ先へと足早に歩いていると、「今日はここに泊れ」と向こうから訴えかけられているような、
絶好の場所が目の前に現れた。

時間は17時50分。まだ先に行くこともできたが、
最初に見たときの印象が大自然の中という感じでとてもよい場所だったので、
今日はここにテントを張ることに決めた。

テント場
テント場=あの場所の素晴らしさは写真ではいまいち表現できない


他の場所は風が結構吹いているのに、不思議とここだけ風がなかった。


【本日の食事】
朝:カロリーメイト1箱
昼:なし(オレンジジュース)
夜:バランスパワー1箱

>>熊野古道 大峯奥駈道~中辺路歩き旅日記 4日目

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八経ヶ岳 - 涅槃岳(旅日記 4日目)

今日はやっぱり朝から調子が良くなく上りの道だとすぐに息切れしてしまう。

たぶん風邪で夜中に咳をしまくっているので少し肺がやられているのかもしれない。

昨日八経ヶ岳で会ったおじさんにテント場として教えてもらった舟ノタワは
私が泊ったところから意外と近かった。

まだ日暮れまで1時間くらいはあったと思うので、
そのまま歩き続ければ昨日のうちにここまで来れたかもしれないと思ったりもしたが、
昨日テント張った場所はとても印象が良かったのでそれはそれで良しとする。


舟ノタワを過ぎ、楊子ノ宿小屋に到着。何時くらいだったかは覚えていない。

ここには水場があるという話を聞いていた。

昨日弥山の小屋で1リットル100円で入れてもらったが、
今日この先それだけではとても足りない。

水場は小屋から山の中を少し下って行ったところにあるので、
そこらへんにバックパックを置いて早速入れに行く。

そこで歯磨きと洗顔もついでにすませる。

私の場合、歯磨きと洗顔をしないと一日が始まった気がしないのだ。


今は2リットル1本と500ミリ1本の量の水を装備しているが、
これから先水場が少なくなるという話を聞いていたので、
500ミリのペットボトルがもう一本あったら安心だと思い、
そこらへんに落ちていないか、すでに誰もいない避難小屋の中をのぞいてみた。

小屋のすみの方にゴミとして誰かが捨てて行ったたくさんのペットボトルがすぐに目についたが、
あまりきれいとはいえないのでちょっと躊躇しながらさらに小屋の中を見渡してみると、
なんと水が満タンに入った500ミリのペットボトルが窓辺に置いてあった。

フタを開けてみるとどうやら中の水はそのまま飲めそうだ。

そしてさらにそのペットボトルの横には、
カロリーメイトや同系の栄養補助食品が入った袋が置いてある。

おそらく昨日か、ここ数日以内に泊った人が忘れて行ったものに違いないが、
わざわざこれを取りにここまで戻ってくるとは考えられない。

忘れた人には気の毒だけど、私は神様からのお恵みと思ってそれらを頂くことにした。感謝!


実は、お恵みはそれだけにとどまらなかった。

なんと小屋のドアの脇に軍手が一組脱ぎ捨ててあるように落ちていたのだ。

前の日記にも書いたように、今回私は手袋を持ってきていなかったので、
朝方の寒いときは軍手でもあればだいぶ違うのになあ、なんてことを
ここ数日ちょうど思っていたところだった。

もちろん、この軍手もありがたく頂戴することにした。感謝!!


楊子ノ宿跡ではけっこうゆっくりしてしまった。次に目指すは釈迦ヶ岳だ。

気になった木
気になった木

根っこが抱きついているラブラブの木
根っこが抱きついているラブラブの木


やっぱりあまり調子が良くないのか、とにかく持久力がなく、
ちょいちょい休憩が必要で、ときには少し長く休んだ。

何時間も歩いていると重いザックを支える肩が痛くなり、
今日は昨日までよりその痛みも頻度も増している気がして、
そのためにもザックを下ろして休憩が必要だった。

休憩しながら一人また一人と私を抜いていくのを見ていると、
自分の体力の無さを痛感せざるを得なかったが、
同時に本来自分はこんなはずじゃないんだけどなあ、と
原因不明の体調不良にどこかスッキリしない気持ちもあった。

崖の上の不動明王
こんな崖の上にも不動明王(?)が!

釈迦ヶ岳の手前で男性が二人休憩していた。
一人は弥山から、もう一人は弥山の少し手前から歩いて来たらしい。
二人とも私と同じく吉野から奥駆道を縦走しているということだった。


釈迦ヶ岳の上りは非常にしんどく、
そのぶん登りきった時は嬉しさと安堵感があった。

釈迦ヶ岳山頂の釈迦如来像
釈迦ヶ岳山頂の釈迦如来像

頂上に到着したのはちょうどお昼ころで、昼飯を食べる登山客でごった返していた。

先ほど会った二人の男性のうち一人がいたので地図を見せてもらう。

彼はできれば今日のうちに持経ノ宿跡まで行きたいが、たぶん無理だろうと言っていた。
でも今日持経ノ宿跡まで行ければ、明日玉置神社まで行くことができ、
その翌日にはゴールの本宮まで行けてしまうという予定が立つということだった。
つまりあと2泊、全行程を4泊というスケジュールだ。

ふむふむ、なるほど。
なんとなくこの先の道のことがわかってきたぞ。

私はこうやって奥駆道を縦走している人と話す機会があった時は、
その人がこの先どんな予定を組んでいるのか聞くようにしていた。

まったくのノープランで歩いている私にとってはそれがとても参考になるのだ。


彼が出発した後、私も昼飯(弥山の小屋で買ったミニドーナツ半袋)を食べ、
少しゆっくりしてから釈迦ヶ岳をあとにする。


石がゴロゴロした道を下り、やっと次の深山ノ宿跡に着くと、
こんどは釈迦ヶ岳手前で会った二人の男性のうちもう一人がお堂の日陰で休憩していた。

そこでまた話しこんでしまう。

話によるとここで昼食をとり、太陽が雲にかかるか少し涼しくなるのを待っていたらしい。
確かに今日は歩いていると自然と汗がしたたるほど暑い。

彼は前にも一度奥駆道の縦走経験があるらしく、この先の水場やテント場などにも詳しく、
地図を見せてもらいながら彼の予定も含めていろいろ教えてもらいとても助かった。

ちなみに彼は全行程を5泊で行く予定で今日入れてあと3泊あるので、
わりとゆっくりと行けるということだった。


13時ころ深山ノ宿跡を出発。

カッコいい木
カッコよすぎる木

私は大日岳が良いという話を聞いたので、ルートから外れてまた戻ってくることになるが、
その分岐点のところにバックパックを置いて行ってみることにした。

大日岳はいかにも行場といった感じの岩山で、
岩の斜面を鎖で上るルートと迂回して上る安全なルートがある。

私はよく分からずそのどちらでもない道なき道を岩をよじ登りながら
まるでロッククライミングをしているような感じで上っていると、頂上にいる人に
「そこは道じゃないですよ~、そこからは来れませんよ~
 戻って迂回の道があるのでそっち行った方がいいですよ~」
と言われるも私はそれを無視し、結局岩を登りきり頂上まで行くことができた。

大日岳山頂から
大日岳山頂から


帰りはくさり場を下りようかとても迷ったが結局迂回の道を下りることにした。

ルートに戻り、ふたたび先を目指す。



間もなく太古の辻。
ここは前鬼へと下りる道と南奥駈との分岐点だ。

太古の辻
太古の辻

ここでちょうど大峯奥駈道の半分を歩いたことになる。
まだ半分だけどちょっとした達成感があった。



その先の天狗山に着いたとき、自分の進行方向から
タイミング良く一人のおじさんが歩いてきて、また話しこんでしまう。

おじさんはこのあたりの山を知り尽くしている人で、
今は深山ノ宿跡にテントを張ってそこを拠点に周辺の山の中を散策しているのだという。

今日はこのあたりの下の川まで下りて行き、Tシャツと身体を洗って
夕食用に魚3匹とキノコを取ってきたらしい。

夕食に魚かあ~。いいな~、おれも食べたい~なんて思いながら、
キノコは持参のバターで焼いて食べるなんて話を聞いているだけで
よだれがたれてきそうだった。


こっちの谷は原生林でよいところだとか、
何月にはこの花が咲いて、どこそこにキノコがたくさん生えるとか、
あれはこれこれという名前の鳥だとか、
とにかく自然や動植物の知識がとても豊富で、
それを楽しそうに話しているのが印象的だった。

この人は山の中に入れば食べ物にも困ることなく生きていけそうだと思った。
私はまったく何の知識もないけどこういう自然のことに詳しい人にとてもあこがれる。


奥駆道を縦走する人はただ尾根の上を急ぎ足で歩いて行くだけだけど、
もっとゆっくり山を見ることでまたさらにいろいろと見えてくるものがあって
そこに山の面白さがあるというおじさんの話に、私は少し考えさせられた。

2泊で行くとか4泊で行くとか、私はいろんな人の予定を聞いているうちに
特に理由もなく先へ先へと足を進めることだけが目的になってしまっている自分に気づき、
食糧が許す限りもう少しゆっくりと行ってもいいのかもしれないと思った。


おじさんと話している途中、深山ノ宿跡で会った彼が遅れてやってきて
一緒におじさんの話に聞き入っていた。


天狗山は16時くらいに出発。
おじさんと別れ一緒に話を聞いていた彼と夕方の尾根道を歩いた。

途中いろいろ話をする中で、私はあと3泊の予定で行こうと思っていたけど、
時間の制約があるわけでもないし、さっきのおじさんの話を聞いて、
あと1泊追加してもう少しゆっくり行こうかと思ったという話を彼にした。

すると、食糧は大丈夫なのか心配されたので、
「最後の日はカロリーメイト1箱でもいいかな」なんて冗談半分に話すと、
「食べないで余るものがあるからよかったら持っていってください」と彼。

パインのドライフルーツと水に溶かして飲むレモンの粉末を頂いた。

なんとお礼を言ったらよいのか、とにかく本当にありがたかった。感謝!!!

南奥駆
最左の山が涅槃岳。その手前の谷が本日のテント場


彼は天狗の稽古場の少し先に来たところでテントを張るということだったが
涅槃岳の手前でテントを張れると彼が言っていたので、
まだ時間もあるし私は彼と別れそこを目指すことにした。


そこから30分くらい歩いた涅槃岳直前の谷間でテントを張り本日は終了。

結構近くでしばらくシカの鳴き声が聞こえていた。

テント場
この周辺にテントを張った


さっき頂いたばかりのレモンの粉末を早速水に溶かして飲んだ。

ちょうど舌が欲していた味だったのか、本当にうまかった!ありがとう!


【本日の食事】
朝:カロリーメイト1箱
昼:ミニドーナツ半袋
夜:パインドライフルーツ(お恵み)、バランスパワー1箱

>>熊野古道 大峯奥駈道~中辺路歩き旅日記 5日目

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涅槃岳 - 行仙宿(旅日記 5日目)

今日も寒くて夜中に起き、それから熟睡できず。

やはり疲れやすい。
もしかしたら朝方は身体が慣れていないので余計キツイのかも知れない。


朝一で涅槃岳を越え、7時40分ごろ持経ノ宿跡に到着。

持経ノ宿跡避難小屋
持経ノ宿跡避難小屋


小屋の前には親切な人がポリタンクに水を汲んで置いといてくれていたが、
私は顔洗ったりいろいろしたかったので、
10分くらいのところにある水場まで歩いて行った。

結構水が豊富な沢で、歯磨き洗顔だけでなく、
裸足になって足を洗ったり、手ぬぐいを濡らして全身を拭いたりもした。

昨日は暑くてたくさん汗をかき身体がべとついて不快だったので、
身体を手ぬぐいで拭くだけでもかなり爽快だった。

本当に気持ちよかった~。

こんな感じでちょっとのんびりしすぎて、
持経ノ宿跡を出発したのは9時近かったかもしれない。


この先はひたすらアップダウンの連続。いくつも山を越えていく。

上りのたびに嫌だなと思うのだが、嫌だろうが楽しかろうが行くしかないのだ。
とにかくどんな道だろうと前に進まなければ終わりはない。

こんなことを考えていたら、いちいち反応することなくそのうち無心で歩くようになっていた。

森の巨人たち100選
森の巨人たち100選

血管のような木の根
大地を這う木の根


行仙宿で昼食にしようと思っていたがスタミナ切れで思いのほかなかなか距離が縮まらず、
いい加減長い休憩がほしくなってしまい、我慢できず怒田ノ宿跡で昼食。

ずっと湿った感じがして寝るときとても気持ち悪かったシュラフをこの間に干した。

ここでも1時間以上のんびりしてしまう。

のんびりするというよりは正直なところ、一度休憩してしまうともう動きたくなくなってしまい、
重いザックを背負ってまた歩き始める心の準備ができるまでに時間がかかっていた。


実のところ休憩するたびにもう歩きたくない、動きたくないという気持ちがあって、
ボーっとしてついついゆっくりしてしまう。

原因不明の体力低下や風邪による夜中の咳、
そして睡眠不足などで疲労がたまってきていたのかもしれない。


この時もまだ昼だというのに、
今日はここでテントを張ってしまったら本当に楽だな~、なんてことを考えていた。

とはいえ、前に進まなければどうしようもない。



やっとの思いで行仙宿に着いた。

「コーヒーでも飲んでちょっと休憩していきな!お茶もあるよ~」

小屋の外にいた一人のおばちゃんが私を見るなり、こんな感じで声をかけてくれた。

私はいまいち状況が把握できず、ここは営業している小屋なのかとも思ったが、
とりあえず言われるがままに中に入った。

案内されるがままに腰をおろすと間もなくコーヒーをごちそうになった。

小屋の中には10人くらいの人がいたが、
どうやらそのうちの何人かはここの避難小屋の管理をしている人たちらしく、
さっきのおばちゃんもその一人だったというわけだ。

どこまで行くつもりか尋ねられ、笠捨山の先まで行ければ行きたいと話すと
ここから次の笠捨山までは2時間かかって、
その先もテントを張る場所があるかわからないという話だった。

「今日はここに泊ってけ!泊っていけば飯も食えるし、ビールもあるぞ」

一人の陽気なおじさんがそう言ってくれたが、このときの時間はまだ14時。
まだ先を目指してもよい時間だった。

いろいろ話しているうちに食糧は大丈夫なのか聞かれ、
ずっとカロリーメイトみたいなものを食べてなんとか頑張っているという話をすると、
バナナやおにぎりやパンなど次々といろんなものを頂いてしまった。

なんて親切な人たちなんだ!とてもありがたかった。

怒田ノ宿跡で長い休憩をとったのでここではそんなに長居をするつもりはなかったが、
ここに泊ろうか、それともまだ先へ行こうか決めあぐねているうちに30分が過ぎた。

そのうち、今晩ここに泊るという二人のおじさんが小屋に入ってきた。

少しして一息ついたそのおじさんたちに、小屋管理の陽気なおじさんが早速缶ビールを持ってくる。

「お前も飲むか?」

そう聞かれて返答に困っていると、おじさんは私にもビールを持ってきてくれたので、
私はもう迷うことなく受け取り缶のフタを開けた。

私が今日ここに泊ることが確定した瞬間だ。

よくよく考えればこれといって急ぐ旅でもないので、こういう日があってもいいのだ。

管理の人たちもにぎやかで面白そうだ。
みんなボランティアでやっているらしい。


ビールを飲んで気分が良くなったころ、例の陽気なおじさんが
ポリタンクを背負子(しょいこ)に乗っけて水を汲みに行くというので、
喜んで手伝わせていただいた。

急な斜面に設置された鉄パイプで組んだ階段を下りて行った。
水場に行くためだけに小屋の管理の人たちが作った道だそうだ。

水を満タンにしたポリタンクは結構重く、そのうえ
ビールで気持ち良くなった身体で急斜面を登って行くのはそれなりにこたえた。


お前もこのグループの会員になれ!なんて冗談半分に言われたが、
実のところちょっと興味があった。

新宮山彦グループという地元のボランティア団体だ。

この名前は持経ノ宿跡前を通ったとき道の両脇に立っていたのぼりで目にしていた。
持経ノ宿小屋と平治ノ宿小屋も管理しているらしい。

この連休中、小屋の管理と登山客をもてなすために
毎日誰かしら交代で来ているのだという。

普段は週末に交代で登ってきているのだそうだ。


その後も夜にかけてビールを何本もごちそうになった。

そして、さらに夕食には伊勢海老の刺身や七輪で焼いたさんま、生野菜など
とにかく腹いっぱいもてなしてくださった。

大峯奥駈道を歩き始めてから食べ物のことばかり考えていたが、それは終点の本宮に行ったあと、
大峯山寺で会ったおにいさんから聞いた中華料理屋に行くことしか頭になかった。

それがまさか山の上で腹いっぱいの食事を食べることができるとは夢のようだった。

しかも、昨日天狗山で会ったおじさんが、
その日の夕食に川で釣ってきた魚を食べるという話を聞いてから、
焼き魚とご飯が私の頭の中から離れなくなっていたが、
まさか次の日にそれが現実のものとなるなんてもうほとんど奇跡に近い。

囲炉裏を囲んで食後の団らん
囲炉裏を囲んで食後の団らん


さらに、咳をしている私に風邪薬までくれた。

新宮山彦グループの人たちはみなさん親切で本当にありがたかった。
この日何度お礼の言葉を言ったかわからない。

こういう楽しい出合いこそ旅の醍醐味とも言える。


今日は暖かい部屋で眠れる。
意味もなく先を急がないで良かった。


【本日の食事】
朝:カロリーメイト1箱
昼:ミニドーナツ半袋、ソイジョイ(お恵み)
夜:ビールたくさん、伊勢海老の刺身、焼き魚、おにぎり、生野菜などなど腹いっぱい(お恵み)

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行仙宿 - 玉置神社 本宮辻(旅日記 6日目)

今日は朝6時前に行仙宿の小屋を出発。

朝もコーヒーを入れていただき、出掛けにまたいろいろと食糧を頂いてしまい、
行仙宿小屋では最後の最後まで至れり尽くせりだった。

このご恩は一生忘れません!
新宮山彦グループのみなさん、ありがとうございました!



歩き始めると昨日までと違いなんだかとても足取りが軽い。

全身にエネルギーが行きわたっているような、
安定感のある本来の自分の身体の感覚という感じだ。

これまで続いていたちょっと貧血っぽい症状もなくなっている。

スタミナがあるというか、なにしろ疲れない。



・・・そうか。すべては食事だったのだ。



今までどうして自分はこんなに体力がないのか、すぐに疲れてしまうのか、
その原因がまったくわからず、自分の気付かないうちにいつの間にか体力が落ちたのだと思っていたが、
それはまったくの見当違いだったということがわかった。


そう。ただ単にカロリーが足りていなかっただけなのだ!

カロリーメイトだけでは、カロリーが足りなかったのだ!


昨日の夜、腹いっぱい食べたことで、
十分に身体にエネルギーが補給されたということなのかもしれない。



行仙宿から笠捨山山頂までは120分という表示があったが、
もっと短時間で着いてしまった。

朝一の笠捨山頂は空気もよく静かで居心地がよかった。


ここで朝食を食べ、少しゆっくりしてからいざ出発というとき、
近くにあった道標に目をやるとそこには“熊野本宮大社”の文字が!

これまで大峯奥駈道を歩いて来ていくつもの道標を見てきたが、
たぶん“熊野本宮大社”の文字が出てきたのはここが初めてだったと思う。

それだけゴールに近づいてきたということだ!

“熊野本宮”の文字
いよいよ現れた“熊野本宮大社”の文字


本宮大社の文字を見てさらに元気が出てしまった私は、
いつの間にか地蔵山も越えていて目指すは玉置神社。

一山でも二山でもかかってこい!いくらでも越えて行ってやるぞー!という気分。

恐竜みたいな木
恐竜みたいな木


昨日まではちょっと歩くとすぐに休憩したくなり、
あまり動きたくなく、先に進む気力もなんとかふり絞っていた状態だったが、
今日は汗がしたたり熱くなった身体を冷やすための休憩で、
特に身体が疲れているわけでもなく、息があがっているわけでもないのだ。

ちょっと身体が冷えて汗がひけばまたすぐに動きだせる。

気力、体力ともにバッチリで、なにより動けることが嬉しく、早足でどんどん前に進んで行った。


すべては昨日の夜食べた食事のおかげだ!

それにしてもたった一食腹いっぱい食べるだけでこれほどまでに体力が回復するとは驚きだった。

食事の大切さをこんなに身にしみて実感したことは今までにない。
やはり人間しっかり食わなければだめなのだ!


玉置山へと続く道
玉置山へはしばらくこんな感じの道が続く


玉置山のちょっと手前から山の中の道が整備されていない状態で、
構わずそのまま進んで行くとすでにどこが道なのか判別不能になってしまったので、
仕方なく近くの車道まで出ることにした。

ちょうど車道に出たところに見晴らし台のようなところがあったので、
そこのトイレの手洗い水で手ぬぐいを濡らして、汗でべとつく身体を拭いた。

車道を少し歩くとまた山の中へと続く道があった。


玉置山を越え、いよいよ玉置神社へ。

玉置山から玉置神社へ
玉置山から玉置神社へ

玉置山から玉置神社へ続く下りの山道には今まで歩いてきた道では見ることのできなかった
明らかにレベルの違う大木が何本も待ち構えていて、
巨樹、巨木が好きな私はいちいち足を止める回数が増えてしまう。

玉置神社手前にある巨木
玉置神社手前で出会った巨木


山道にある数本の大木で感動するのはまだ早く、
いざ玉置神社に到着し境内周辺を散策するとそこは巨樹、巨木のオンパレードだった。

私は一人でアドレナリン大放出状態。

神社そのものよりもその圧倒的な存在感でたたずむ数本の御神木や巨樹に
しばらく心を奪われていた。

夫婦杉
夫婦杉

県内一の大杉
県内一の大杉と私

樹齢3000年!神代杉
樹齢3000年! 神代杉



水を補給して神社を出発したのは16時半ごろ。
ここではかなりのんびりしてしまった。

翌日は雨が降るという話を聞いていたので、
今日のうちに出来るだけ距離を稼いでおきたいと思っていた。

しかし、神社から500mほど行った本宮辻のところで、
昨日行仙宿の小屋で一緒だったおじさん二人がすでにテントを張っていて、
この先大森山までの2時間くらいはテントを張る場所がないという話を聞き、
さらにここから目的地の本宮大社までは7、8時間らしく、
朝6時に出発したとしても昼の1時や2時、遅くても3時には着けると思い、
私もここ本宮辻でテントを張ることにした。

本宮辻
今日はここまで(本宮辻)

テント場
こんな感じのテント場


今日は本当に足取りが軽かった。
まだまだいくらでも歩ける。歩いてもほとんど疲れない。
やっと本来の自分の歩きが出来てとても嬉しい1日だった。

すべては食事だったのだ!


いよいよ明日は大峯奥駈道ゴールの熊野本宮大社だ。


【本日の食事】
朝:ライトミール(カロリーメイト系食品)1箱(お恵み)、6Pチーズ(お恵み)
昼:おにぎり1個(お恵み)、バランスパワー1箱、缶コーヒー(お恵み)
夜:チョコパン(お恵み)、小さいコッペパン(お恵み)、パインドライフルーツ(お恵み)、
  バランスパワー半箱、味好み(お恵み)

>>熊野古道 大峯奥駈道~中辺路歩き旅日記 7日目

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玉置神社 - 熊野本宮大社(旅日記 7日目)

今日も5時半か6時くらいには出発した。

心配していた天気は、空を厚い雲が覆ってはいるが雨は降っていなかった。

標高が低くなってきたこともあってか、今までみたいに自分の持っている衣服を
フル装備で着こんで寝ていたら夜中に逆に暑くて起きてしまった。

でも、もう寒い思いをしなくてよいと思うと少しホッとした。


大森山頂には7時ごろ到着。朝食。

大森山はちょうど雲の中だったのか霧がかかっていて
木から落ちてくるしずくが雨のように感じた。

少し肌寒かったが、山を登ってきて暑くなった身体を冷ますにはちょうどよかった。


本宮まで10km。

大森山を登ればあとはなだらかな下りが熊野まで続くのだと勝手に考えていたが、
実際はそんな生やさしいものではなく、何個も山を登り、そして下り、
熊野川へ出る最後の最後までアップダウンが続いた。

熊野本宮道標
いざ本宮を目指す


歩を進めていくうちにだいぶ標高が低くなってきたということを、風と空気が教えてくれた。

一気に季節が進み、山は草花が生い茂り、気の早いことにセミも鳴き始め初夏の空気を感じた。


本宮の町を一望できる見晴らし台のようなところで昼食。

本宮町全景
本宮町全景


熊野川はどんどん近くに見えてきているのに、奥駆道はしつこく山を登り、下りを繰り返す。

気持ちはすでに熊野にあるだけに、最後の10kmは意外なほどに長く感じられた。


吹越峠、七越峠を過ぎやっとこさ熊野川に出た。

とりあえず、いつものように手ぬぐいを濡らし、木陰で身体全体を拭いた。

う~ん、さっぱり。気持ちよかった~。

旅の途中に聞いた話ではこの川を歩いて渡るということだったが、
どこを探しても安全に渡れそうな場所が見当たらず、
自分には無理と判断し、遠回りでも橋を使うことにした。


本宮には15時ごろ到着。

長い階段を上ると重厚な雰囲気と圧倒される存在感の社殿があった。

熊野本宮大社鳥居
熊野本宮大社鳥居

熊野本宮大社階段
熊野本宮大社階段

熊野本宮大社本殿
熊野本宮大社本殿


早速、道中何事もなく到着出来たことに感謝し手を合わせる。

7日間にわたる大峯奥駆道踏破の瞬間だった。


本宮に着いたらもっと達成感や感動があると思っていたが、
大峯奥駈道は終わっても自分の旅はまだ那智まで続くということもあり、
意外にもあっさりとしたものだった。


明治22年まで熊野本宮大社のもともとの境内があった場所とされる
熊野川と音無川の中州に位置する大斎原(おおゆのはら)をお参りした後、
請川方面を目指して歩いた。

大斎原大鳥居
大斎原大鳥居


請川は那智へと続く小雲取越のスタート地点だが、
私はそんなことよりも請川にある宿泊もできるという中華料理屋に行くことが目的だった。

大峯奥駆道2日目に山上ヶ岳の頂上、大峯山寺で出会ったおにいさんに話を聞いてから、
本宮参拝後に請川の中華料理屋で腹いっぱい食べることを考えるのが
前に進む原動力になるくらい楽しみにしていた。



地元の人に道を聞きながら夕方5時ごろ中華料理屋「黎明」に到着。

しかし、店の入り口には「準備中」の看板が・・・。

店の中で人が何かやっている様子もない。

夕方5時で「準備中」。まさか、今日は休みということなのか。


店の周りをうろちょろしていると、
通りを歩いていた近所の住人らしきおじさんと目が合い、どうしたのか声をかけてきた。

事情を話すと、誰もいない様子なので今日は休みだとおじさんは言った。

・・・なんということだ!

ここの中華料理を食べることを考えながら旅してきただけにとてもがっかりだった。

数日前に行仙宿小屋で腹いっぱい食事をすることが出来ていたのでまだよかったが、
もしそれがなかったらこのショックはかなりのものだったはずだ。


さらに私はこのお店に泊るつもりでいたので、
休みとなると今日どこで寝泊まりしたらよいかもわからなくなってしまった。

そんな話もおじさんにすると、
すぐそこのコンビニでビールでも弁当でも買って、
そのへんにテント張れば逆に安上がりでいいじゃないかと言って、
雨が降ったときのことも考えて近くの河原の橋の下もすすめてくれた。


私はおじさんが提案してくれたゴールデンコースが気に入り、
コンビニで中華弁当と生トマトと缶ビール2本を買って河原へ。

ほろ酔い気分も手伝って、オレンジ色に染まる西の空を眺めながら
大峯奥駈道踏破の達成感を少し遅れて味わった。


>>熊野古道 大峯奥駈道~中辺路歩き旅日記 8日目

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請川 橋の下(旅日記 8日目)

昨夜からいよいよ雨が降り出してきた。

奥駈道を歩いている間もってくれて本当に助かった。
雨が多いといわれるこの地域で7日間で1日も降られなかったのはとても恵まれている。

とりあえず雨の様子を見ることにした。


歩いて数分の公衆トイレに行った帰り、カッパ着て小雲取越に向かっていく人を見かけた。

私は何日までに行かなければならないというタイムリミットがないので、
あえてこの雨の中出発する気にはなれない。

しかも今日は金曜日だ。
今日出発して明日那智に着いたとしても土曜日で観光客が多いはず。

そう考えると土日の参拝は避けたいが、そうするとどこかであと2泊しなければならない。


バッテリー切れのケータイを手回し充電して天気予報を確認すると、
雨はひとまず今日でやみ、土日が晴れて月曜からまた雨。

どうやら土日で行くしかなさそうだ。



昼飯を食べて、午後はゆっくり昼寝。

まるで今日の雨は奥駈道でたまった疲れを癒しなさいと天に言われているようだった。


予報通り夕方くらいに雨が上がってキレイな夕焼け空が見えた。

雨上がりの西の空
雨上がりの西の空


コンビニで那智までの1泊2日分の食糧と今日の夕食と缶ビールを買う。

どうやら今日は中華料理屋は営業している様子だったが、
昨日からすでに食欲は満たされていたのであえて食べに行こうという気も起きなかった。

縁がなかったということだろう。

テント場
橋の下のテント


今日も雨上がりの夕方の西の空を眺めながら缶ビール。うまかった~。


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